この記事では、動画編集するうえで知っておくべき「解像度・フレームレート・サンプリングレート」について解説します。
ざっくり結論
解像度 | 横と縦のピクセル数。数値が大きいほど高画質。 |
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フレームレート | 1秒間に表示される静止画の枚数。数値が大きいほど動きがなめらか。 |
サンプリングレート | 1秒間にデジタル化する音の情報数。数値が大きいほど高音質。 |
解像度
解像度とは
「解像度」とは、画面を構成するピクセルの数のことです。
「ピクセル」とは、映像を構成する最小単位の色の点のことです。
動画を拡大すると、小さな点の集合体でできているのが分かりますが、このひとつひとつの点がピクセルです。
解像度は、一般的に「横のピクセル数×縦のピクセル数」で表されます。例えば「1920×1080」という解像度は、横に1920個、縦に1080個のピクセルが並んでいることを意味します。
ピクセル数が多いほど解像度が高くなり、より精細で高画質な映像になります。 逆にピクセル数が少ないと、映像が粗くぼやけて見えます。
解像度を高くするメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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映像がきめ細かく表示され、きれいに見える 大画面に表示しても粗くなりにくい 将来的な技術(4K・8Kディスプレイなど)への対応 | ファイルサイズが大きくなる PCの性能が必要になる 編集や書き出しに時間がかかる |
よく使われる解像度
代表的な解像度の種類は以下のとおりです。現在もっとも一般的な解像度は、1080p(1920×1080)です。
名称 | 解像度 | 概要 |
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SD (Standard Definition) | 480p(720×480) | 昔のテレビやDVDで使われていた解像度で、画質は低いです。 |
HD (High Definition) | 720p(1280×720) | YouTubeなどの動画配信サービスで、標準的な画質とされています。 |
フルHD (Full High Definition) | 1080p(1920×1080) | 一般的なテレビやPCモニターで広く使われており、現在もっとも一般的な解像度です。 |
4K (Ultra High Definition) | 2160p(3840×2160) | フルHDの4倍の画素数を持つ、超高画質な規格です。 |
8K (Ultra High Definition 2) | 4320p(7680×4320) | 4Kのさらに4倍の画素数を持つ、最高解像度の規格です。(一般的にはまだ普及していません) |
「1080p」とは
解像度を、「1080p」や「720p」という書き方をすることがあります。これは、解像度と走査方式を簡単に表したものです。
数字の部分(1080など)
数字の部分は、縦方向のピクセル数を表しています。
1080 → 縦1080ピクセル(1920×1080のこと)
720 → 縦720ピクセル(1280×720のこと)
アルファベットの部分(pとi)
アルファベットの部分は、走査方式を示しています。走査方式には、p(プログレッシブ)とi(インターレース)があります。
p(プログレッシブ) | 1フレームを一度に表示する方式。映像がなめらかで高画質。現在のほとんどのテレビやPCモニターなどで採用されている方式です。 |
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i(インターレース) | 1フレームを「偶数ライン」と「奇数ライン」に分けて交互に表示する方式。昔のテレビ放送によく使われていました。 |
フレームレート
フレームレートとは
「フレームレート」とは、1秒間に表示される静止画(フレーム)の枚数のことです。単位はfps(frames per second)です。
動画はパラパラ漫画のように、多数の静止画を連続して表示することで動きを表現しています。フレームレートの数値が大きいほど、1秒間あたりの静止画の枚数が多くなるため、よりなめらかで自然な動きに見えます。逆に数値が低いと、動きがカクカクした印象になります。
30fps → 1秒間に30枚の画像が表示される
60fps → 1秒間に60枚の画像が表示される
フレームレートを高くするメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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映像がなめらかになる 細かい動きを表現できる 編集の自由度が上がる(スローモーションなど) | ファイルサイズが大きくなる PCの性能が必要になる 映画的な雰囲気が薄れる |
よく使われるフレームレート
代表的なフレームレートの種類は以下のとおりです。映画っぽくしたいなら24fps、Vlogは30fps、ゲームなら60fpsなど、用途に合わせて選択することが大切です。
フレームレート | 概要 |
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24fps | 映画で一般的に使われるフレームレートです。独特のシネマティックな雰囲気や「映画らしさ」を演出できます。 |
29.97fps | 日本やアメリカのテレビ放送で使われているフレームレートです。白黒テレビからカラーテレビに移行するときに生まれました。 |
30fps | YouTubeなどのウェブ動画で広く使われているフレームレートです。ほとんどのオンライン動画でこの設定が使われます。 |
60fps | 動きの速いゲームやスポーツなどに適したフレームレートです。非常になめらかな動きを表現でき、臨場感を高めます。 |
120fps以上 | スローモーション撮影などで使われるフレームレートです。高いフレームレートで撮影した素材を、編集で30fpsや60fpsのタイムラインに配置することで、なめらかなスローモーション映像が作れます。 |
「29.97fps」が生まれた背景
白黒テレビからカラーテレビに移行するときに、問題を解決するために「29.97fps」という中途半端な数字が標準になりました。
もともと日本やアメリカで採用されたNTSC方式の白黒テレビ放送では、1秒間に30枚のフレーム(30fps)で映像が送られていました。しかし、カラー放送に移行するときに、色の情報を追加すると音声信号と干渉してしまうという問題が発生しました。
この問題を解決するために映像信号の周波数をわずかに調整し、結果としてフレームレートが30fpsから29.97fpsになりました。このわずかな調整により、音声との干渉を避けつつ、既存の設備をそのまま利用することが可能になりました。
サンプリングレート
サンプリングレートとは
「サンプリングレート」とは、音声をデジタルデータに変換する際に、1秒間に何回データを取得(サンプリング)するかを表す数値です。単位はHz(ヘルツ)、またはkHz(キロヘルツ)です。
音は空気の振動で伝わるアナログな波形です。この波形をコンピュータで扱えるデジタルデータにするためには、波形の情報を細かく「点」として取り込む必要があります。この点の数がサンプリングレートです。
サンプリングレートの数値が大きいほど、1秒間あたりの点の数が多くなり、より元の音の波形に近い、なめらかで高音質な音声になります。逆に数値が低いと、音の情報が少なくなり、音質が劣化します。
44.1kHz → 1秒間に44,100回音を取得する
48kHz → 1秒間に48,000回音を取得する
サンプリングレートを高くするメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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音質が良くなる 編集の自由度が上がる(ピッチや再生速度の変更など) 将来的な技術(ハイレゾなど)への対応 | ファイルサイズが大きくなる PCの性能が必要になる 違いを体感しにくい場合も多い |
よく使われるサンプリングレート
代表的なサンプリングレートの種類は以下のとおりです。動画編集では、基本的に48kHz(48,000Hz)を選んでおけば安心です。
サンプリングレート | 概要 |
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44.1kHz(44,100Hz) | 音楽CDの標準規格として広く使われているサンプリングレートです。人間の可聴域(およそ20Hz~20kHz)をカバーできるため、高音質とされています。 |
48kHz(48,000Hz) | 映像業界や動画編集の分野で標準的に使われるサンプリングレートです。YouTubeなどのオンライン動画でもこの規格が推奨されています。 |
96kHz、192kHzなど | ハイレゾ音源で使われるサンプリングレートです。非常に多くの情報を持つため、CDや映像用の音源よりもさらに高音質ですが、ファイルサイズがとても大きくなります。 |
まとめ
解像度
「解像度」は、映像のきめ細かさや鮮明さを決める要素です。現在もっとも一般的な解像度は、1080p(1920×1080)です。
フレームレート
「フレームレート」は、映像のなめらかさを決める要素です。映画っぽくしたいなら24fps、Vlogは30fps、ゲームなら60fpsなど、用途に合わせて選択することが大切です。
サンプリングレート
「サンプリングレート」は、音の細かさ(音質)を決める要素です。動画編集では、基本的に48kHz(48,000Hz)を選んでおけば安心です。

「解像度・フレームレート・サンプリングレート」についての解説は以上です。